子育て

産後初めてスカートを買った日

こんにちは。中野あくびです。

先日、数年ぶりに自分のおめかし着を買いました。
妊娠前からずっと一番好きなお店で、産後初めてスカートを買ったんです。

キュッと締まったウエストにたっぷりと広がるギャザー、ボリューミーで華やかなシルエット、足首までの長い丈。
おおよそ1歳児の母には向かないお品。
でも、一目惚れでした。
メルマガで発売を知り、どうしても履いてみたくて仕方がなかった。

今回はそんな私の葛藤と、
実際購入に至るまで、
そしてそこからの意識の変化について書いてみます。

産後の服装と金銭感覚

私、産後は自分の服をめっきり買わなくなりました。
長いこと外でも授乳があったし、動きやすい服でないとつらいし、汚れやすい。
かがんだり抱っこしたり袖をまくったり、一つ一つの動きが通常より大きくて多く、服が傷みやすいとも思います。

手持ちのよれよれの服で事足りるし、わざわざ買う必要もないんです。
ジーンズにパーカー、スニーカー。
子連れであることを免罪符に、おしゃれとは程遠い生活を送ってきました。

でも、それより何より服購入の足枷となるのは、自分が今稼いでいないという事実。
専業主婦である私は日々食いつぶすばかりです。
育児と家事がいくら重労働だとしても、それらはお金を生み出すわけじゃない。

夫のズンさんは「気にすることない」「そんな風に思う必要はない」と言ってくれますが、私がどうしてもダメなんです。
家計の余裕のなさを知っているし、フリーランスであるズンさんがどれだけ頑張って仕事をとってきているか、どれだけ頑張ってそれを仕上げているか知っています。
お金の貴重さを思うと、専業主婦である私がそこから贅沢することは、なんだかとてつもない罪のように感じてしまう。

ストレス発散でコンビニスイーツを買うたび心が痛み、Kindleで新刊を買うたび心が痛む。
私は産後、自分のためにお金を使うことがとても苦手になりました。
どうしても必要な子ども用品を買うことで心を満たし、物欲に蓋をすることに慣れきった頃。
でも、そのスカートはどうしても一度履いてみたくて仕方がなかった!

そうして私はお店へ赴くことに決めました。

子連れでの試着はむずかしい

子連れショッピングで問題になってくるのは、なんといっても試着のこと。
抱っこ紐に子どもを入れたままでは当然試着はできません。
そして下ろしたが最後、絶対に試着室のカーテンをくぐって走り去ってしまいます!
1歳4ヶ月、ただの怪獣です。待っていてもらうためにはベビーカーが必須です。

いつも覗いていた最寄りの店舗は、残念なことにベビーカーに不向き。
店内も通路も狭すぎて、什器やトルソーに車輪が引っかかる回数山のごとし。他のお客様とすれ違うこともできないんです。
だからいつも試着をあきらめ、抱っこ紐で行ってはぺらぺらと服を見て退散していました。
もともと買う気もなかった私。冷やかし程度なのでそれで構わなかったのです。

でも今回は違います。絶対に試着をしたい!
だから、ベビーカーでも入りやすそうな別店舗をわざわざ調べ、初めての地へと向かいました。

お昼寝しそうな時間帯を狙い、お店の周りをうんざりするほどぐるぐる回って寝かしつけ。
よっしゃ寝たー!と喜びも束の間、ゆっくりしている暇はありません。
息子のチッチは30分〜1時間ほどで起きてしまいます。
まさに時間との戦い。

試着室は広く、ベビーカーごと入らせてもらうことができました。
これだけでもう、わざわざ初めての店舗まで来た甲斐があったと思いました。

そしていよいよ、一目惚れのスカートに足を通す瞬間。
とてもドキドキしていました。心が脈打つのがわかるほど。

自分の中の”女の子”

目線を上げると、鏡の中の自分はとても久しぶりにおめかしをしていました。
伸びきったショートヘアでもそこそこ様になって見えました。
いつも”母”の皮をかぶっている自分が、ぐっすり眠る息子をかたわらに”女の子”に戻った瞬間。

その場でくるりと回りたいほどにスカートは”ドレス”で、
参考にと試しに合わせて履いてみたショートブーツはガラスの靴でした。
心がときめきました。何か大切なものを取り戻した気がしました。
履いてみてよかったと心の底から思いました。

ユニクロや無印良品で、試着もせずに機能性重視でカゴに突っ込む服とは違う。
私が私を、ひとりの女性にするためにまとう服。
私が私に、ひとりの女性でいることを許すための服。

うれしくてうれしくて、初めて試着をしたまま試着室から出ました。
狭い空間で鏡を眺めるのではなく、距離を取り、第三者目線で自分のおめかし姿を見るために。
いつもなら「お似合いですぅ〜」なんてお世辞を言われてもうれしくないのに、この時は心からうれしかった。
だって、紛れもなくイキイキとした自分が鏡の中にいたから。女の子がそこにいたから。

そうして私は、そのスカートを買いました。

とめどない活力がやってきた

機能性なんて一切考えず、セール品でもなく、定価で買いました。
数年単位でコツコツと貯めていたショップポイントを大放出し、それでもちょっと手出しはあり、現金はたいて買いました。
夫が苦労して稼いだお金で、贅沢にスカートを買ってしまいました。

そうしたらね、数日経っても数週間経っても、なんだかずっとうれしいんです。
かわいいスカートがクローゼットにあることを思い出し、顔がほころぶんです。
自分のための買い物した!って、本当に本当にずっとうれしい。
お金を使った罪悪感もあるけれど、それを超えてうれしい。

久しぶりに自分の中の”女の子”をいたわってあげたら、
その子は予想もできなかったほどの活力を生み出してくれました。

服を1着買うだけでこんなにもうれしいだなんて、やる気がみなぎってくるだなんて。
当たり前に決まった給与を受け取っていたころの私は知らなかったと思います。
知っていたのかもしれないけれど、もっとすんなりと「買い物」として受け入れていたというか。

“おかあさん”じゃない日のとっておき

私の友人たちはほとんどがまだ独身です。バリバリ働き、輝いているように見える子ばかり。
対する私は育児疲れでヨレヨレ。メイクも数年前からずっと変わっていません。
会いたいしおしゃべりしたくてたまらないのに、気後れしないと言ったら嘘になります。
容姿も体型も、服装も髪型もメイクもいかにも”おかあさん”だから。

でも、今回買ったこのスカート、
そんな気後れにちょっとだけ風を吹き入れてくれました。

絶対に子連れじゃ履けない長さです。1人でないと履けません。
履いて出かけたいから、自信のなさを押し切って自分からお誘いをかけました。
今週末、夫に育児を任せ、独身の友人たちとお茶をしに行く予定です。とても楽しみ。

ありがとう、スカート。
ありがとう、自分。
いつも子育てお疲れさま。

このスカートを履いて出かけられるように、定期的に”おかあさん”をお休みします。
定期的に自分をいたわってあげられるように。
ファッションやメイクについて考える時間をもうけられるように。
日々の活力を絶やさずいられるように。

特別高価な1枚というわけではないですが、長く長く大切にします。
金木犀の柄が、これから先も私を女の子にしてくれることを願って。